「酒は百薬の長」は本当?「万病の元」にしないための日本酒の適量とは
「酒は百薬の長」という言葉、聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。「適量のお酒は、どんな良薬にも勝る」という意味をもつ言葉ですが、実は「されど万病の元」と続く文献もあります。果たして、お酒は百薬の長といえるのでしょうか?
そこで今回は、言葉の由来と、お酒をより健康に楽しむためのポイントや日本酒の適量についてお伝えします。
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「酒は百薬の長」の由来は?
この言葉は、なんと中国古代の史書「漢書」に由来しています。漢を奪った王莽(おうもう)という武将が、酒をたたえて言った言葉として解釈されています。
お酒が、古くから人間の食文化を豊かにしてきたことがうかがえますね。
一方、鎌倉時代~南北朝時代にかけて活躍した日本の歌人・吉田兼好の随筆「徒然草」には、漢書の言葉を受けて「百薬の長とはいへど、よろづの病はさけよりこそおれ」とあります。「酒は百薬の長」に対して、「されど万病の元」と続く言葉ですね。
「お酒を飲み過ぎて困った」という悩みは、鎌倉時代の人にとっても切実だったのでしょう。
お酒を「万病の元」にしないためには
日本酒は、私たちの食生活をとても華やかにしてくれます。
お酒の飲み過ぎで体調を崩さないためにも、以下の3つのポイントを守って飲んでみてください。
おつまみを食べる
日本酒は、食事とともに楽しめる「食中酒」です。
カロリーや健康が気になっても、何も食べずに飲むことはおすすめできません。
適度な量のおつまみは、肝臓の負担を減らし、アルコールの分解を助けてくれます。特に、赤身の肉や豆腐など良質のたんぱく質や、酵素を含む野菜は、日本酒の味わいを引き立てるだけではなく、健康的な晩酌にも一役買ってくれます。
休肝日を設ける
長く日本酒を楽しむためにも、程よく休肝日を設けましょう。
「どれくらい休ませれば良いか」には諸説ありますが、毎日のようにお酒を飲む方は、週に2日の休肝日を設定することをおすすめします。
また「飲み過ぎて胃腸が疲れたと感じる日」は無理に飲まず、内臓全体を休ませてあげてください。逆に「来週は飲み会続きだ!」と分かっている場合は、連続して飲む日々に突入する前に、休肝日をつくってみることもおすすめです。
適量を守る
もちろんですが、飲み過ぎないということも大切。
日本酒だけではなく、どのような食品でも「過ぎる」ことは健康を損なうきっかけになってしまいます。「ついつい飲み過ぎてしまう」という方は、適量を意識して飲むようにしてください。
健康的に日本酒を楽しむための「適量」とは?
では、日本酒の適量とはいったいどれくらいの量なのでしょうか。
基本は「1合」
日本酒は、飲み始めてから20分くらいが一番心地良く感じるといわれています。これは脳から放出されるドーパミンが原因で、その気持ち良さからついつい飲み過ぎてしまうわけです。
肝臓に負担をかけずに飲める量としては、日本酒1合(180ml)が理想とされています。
厚生労働省主導の「国民健康推進運動・健康日本21」でも、日本人の「節度ある適度な飲酒」として、1日のアルコール摂取量は約20g(日本酒1合程度)が良いとされています。
しかし、おいしいおつまみや仲間との楽しい時間が、1合では済ませてくれないこともありますよね。
和らぎ水が身体への負担を軽くしてくれる
1合では済まないな……という日は特に、おちょこの横に、たっぷりの水が入ったグラスを用意しましょう。
日本酒の合間にチェイサーとして飲む水を、「和らぎ水」といいます。体内のアルコール度数を下げ、水分バランスをコントロールするためにも、そして二日酔いを防ぐためにも、日本酒と同量の水を飲むことをおすすめします。
おわりに
日本酒を適度に飲むことは、毎日のストレス解消にも役立ちます。古くから日本人の生活に密着し、食文化にも影響してきた日本酒。上手に付き合い、人生をより豊かにするための「薬」として付き合っていきたいですね。

酒みづき編集部

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