江戸時代末期に建造され170年以上の歳月を経てきたと考えられる大石蔵を、酒造りの文化を広め、後世に伝えることを願って資料館として公開したのが「昔の酒蔵」沢の鶴資料館です。創業300年を誇る沢の鶴の貴重な酒造りの道具や灘酒の伝統文化を展示。六甲山や宮水など自然との調和を求める日本酒の奥深さをぜひ肌で感じてください。
江戸時代末期に建てられた木造の蔵を利用した資料館では、昔の酒造りの工程を紹介しています。洗米作業をした洗い場や火入れに使った釜、直径約2m30cm・深さ1m95cmの大桶など、工程ごとに昔から使われていた道具を展示し、使い方や名称をわかりやすく解説。風情漂う空間で先人の知恵や酒造りの文化を知ることができます。その他、上方から江戸へ酒を運んだ「樽廻船」や「菱垣廻船(ひがきかいせん)」、北海道をはじめ日本海沿岸地域との商業活動に活躍した「北前千石船(きたまえせんごくぶね)」などの和船の模型も見学できます。
全国でも珍しいとされる遺構が地下構造の「槽場(ふなば)」跡です。槽場とは醪から酒を搾りとる作業場のこと。渋袋(しぶくろ)に入れた醪を並べる酒槽(さかぶね)と搾ったお酒を受ける垂壷(たれつぼ)の構造を見ることができます。また、酒の質を左右する麹造りに使われた部屋「麹室(こうじむろ)」も見学できます。蒸米を室に入れてから40時間、昔の人たちは不眠不休で作業したと伝わっています。ぜひ歴史ある酒造りに触れてみてください。
1980年(昭和55年)に兵庫県から「重要有形民俗文化財」の指定を受け、神戸の観光名所として人気を博してきました。しかし1995年の阪神・淡路大震災により建物は全壊。全社一丸となって復旧・復興に取り組み、免震システムを施し1999年に再建を果たしました。その際、発見されたのが1839年(天保10年)と記された棟梁による墨書や、発掘作業により発見された槽場でした。昔の酒蔵の風情をそのままに、灘酒の伝統や日本文化が体感できる場所としてお楽しみいただければ幸いです。
今、話題のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
主人公「蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)」が江戸のメディア王、名プロデューサー、コンテンツビジネスの風雲児として、描かれたドラマです。
そこに登場する「天明狂歌(てんめいきょうか)」と呼ばれる狂歌ブームの火付け役の「大田南畝(おおたなんぽ)」。
蔦屋重三郎の飛躍に一役買った人物です。
号を「蜀山人」(しょくさんじん)と名乗り、狂歌名「四方赤良」(よものあから)や狂詩名「寝惚先生」(ねぼけせんせい)など、様々な筆名を持っていた人物でした。
大田南畝は幕府の役人でありながら学問に優れ、享和元年(1801年)52歳の時に大阪銅座に1年ほど赴任しています。
中国で銅山を「蜀山」といったのに因み、これ以降「蜀山人」の号を用いたといわれています。
その大田南畝(蜀山人)が大阪赴任中に、「沢の鶴」のお酒について詠んだ歌が残っております。
酒の名も つづらおりなる澤の鶴
天つ空にや のぼりきこえん 蜀山人
【解釈】
「沢の鶴」という酒の名はつづらおりのように昇り調子だ。
味わってみると天へも昇るような酔い心地で、きっとあちこちで評判になるであろうよ
沢の鶴資料館に歌碑が残されています。
そんな「べらぼう」の時代を感じながら、昔の酒蔵を見学してみませんか?
「昔の酒蔵」沢の鶴資料館で、日本酒の伝統と文化を楽しんでいただいた後は、「沢の鶴ミュージアムショップ」へどうぞ。手に入りにくい沢の鶴の商品をはじめ、日本酒に関連した品々の販売や、利き酒もお楽しみいただけます。
当ミュージアムショップは、免税店(Tax-free Shop)で「KOBE Free Wi-Fi」〔英語・韓国語・中国語・タイ語・日本語対応〕も設置していますので、海外からのお客様にもおすすめです。
どうぞご利用ください。
開館時間 | 午前10時~午後4時 |
休館日 | 毎週水曜日 盆休み、年末年始 |
入館料 | 無料 |
団体 | 10名様以上要予約 TEL:078-882-7788 FAX:078-882-6777 |
駐車場 | 普通乗用車 大型バス可 |
お車でお越しの方:阪神高速3号線 摩耶料金所より約5分
電車でお越しの方:阪神大石駅下車 徒歩約10分
※お車でお越しの方は、資料館入口より西に進んだミュージアムショップ側に駐車場がございます。(大型バス駐車可)
住所:〒657-0852 兵庫県神戸市灘区大石南町1丁目29番1号
電話番号:078(882)7788
FAX:078(882)6777