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日本酒の賞味期限は?未開封(開栓前)・開封後(開栓後)のおいしく飲める期間とは

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日本酒の賞味期限

食べ物を購入する際に「賞味期限」を意識する方は多いでしょう。では、日本酒にも賞味期限表示があるかどうかご存じでしょうか?開栓前と開栓後の日本酒では、鮮度にどのくらい違いがあるのでしょう。

今回は、酒造メーカーである沢の鶴が目安とする、日本酒の賞味期限や、未開封(開栓前)/開封後(開栓後)においしく飲める期間、日本酒の保存方法についてくわしくお伝えします。

日本酒には賞味期限表示がない

ほとんどの食品や飲料には賞味期限、もしくは消費期限が記載されていますが、日本酒には賞味期限表示がありません。アルコールの殺菌作用によってすぐに腐食が進まず、長期間の保存が可能なため、賞味期限の表示義務がないのです。

賞味期限の代わりに、日本酒のラベルには「製造年月」が義務として必ず記載されています。

なお、食品表示法では、日本酒だけでなく酒類全般の賞味期限表示が免除されています。ワインやウイスキー、焼酎なども同じ理由で賞味期限の表示がないのが一般的です。

日本酒の製造年月とは?

日本酒に記載されている「製造年月」は文字通り、その日本酒が製造された年と月を表示したものですが、お酒をしぼった日ではありません。

日本酒はしぼってから、ろ過、火入れ、貯蔵・熟成という過程を経て瓶詰めされます。日本酒の製造年月とは、容器に詰めた日のことを指します。

未開封(開栓前)の日本酒をおいしく飲める期間は?

未開封の日本酒をおいしく飲める期間
賞味期限表示のない日本酒ですが、5年後、10年後も同じ味わいを保てるのでしょうか?

製造年月から時間が経っている日本酒でも、開栓前であれば健康上は問題なく飲めることが多いのですが、味わいには変化が出てきます。
日本酒は、製造方法によっておいしく飲むことのできる期間が異なります。
 

 

 

通常の日本酒は製造年月より約1年

通常の日本酒は、製造年月から約1年であればおいしく飲むことができます。ここで言う通常の日本酒とは、お酒をしぼった後と瓶詰めの前の2回、「火入れ」という加熱処理を行った日本酒のことです。

生貯蔵酒の場合は約9ヶ月

生貯蔵酒の場合は、通常の日本酒より少し早めの約9ヶ月間がおいしく飲める目安です。これは、生貯蔵酒は貯蔵前に火入れを行わず、出荷する前に一度だけ火入れを行うためです。

また、一度も火入れを行わない日本酒のことを「生酒」と呼びますが、生酒も生貯蔵酒と同じく製造から約9ヶ月までが飲み頃です。

なお、これらの期間はあくまで目安で、保存状態によって変化することがあります。酒造メーカーや銘柄によって推奨期間が異なる場合もありますので、購入の際に確認しましょう。

未開封(開栓前)の日本酒は常温保存で良い?

それでは、未開封(開栓前)の日本酒はどのように保存するのがベストなのでしょうか。常温保存で問題ないのか、それとも冷蔵庫保存が適しているのかなど、未開封(開栓前)の日本酒の保存方法にお悩みの方は、この機会に覚えておくことおすすめします。

日本酒は冷暗所での常温保存がおすすめ

未開封(開栓前)の日本酒は基本的に常温保存で問題ありません。

しかし日本酒は、「紫外線」や「高温」に影響されやすいお酒です。紫外線に当たる環境で保存すると「日光臭」、高温で長期保存すると「老香(ひねか)」と呼ばれる独特の匂いが発生してしまいかねません。

そのため、日光に当たらず、高温になりづらい冷暗所で保管するのがポイントです。

開封していない日本酒でも保存環境を意識すると、よりベストな状態の日本酒を楽しめますよ。

▼日本酒の保存方法を詳しく解説しています!

日本酒の種類に合わせて冷蔵庫で保存しよう

また日本酒の種類によっては、常温(冷暗所)ではなく冷蔵庫での保存が好ましい場合もあります。

例えば「生酒」や「生貯蔵酒」といった火入れをしない、もしくは火入れの回数が少ない日本酒は酒質が変化するスピードが比較的早いです。

火入れとは日本酒の発酵を弱める加熱処理のことで、品質の安定化を図るための工程です。火入れを行わない日本酒は、たとえ開栓前(未開封)であっても冷蔵庫で保管するのが良いでしょう。

未開封(開栓前)でも味わいが変化する前に飲み始めよう

とはいえ、開栓前であっても製造年月から時間が経過すると、多少なりとも味わいや風味に変化が表れてしまいます。

日本酒本来の味わいを楽しむためには、購入後なるべく早く飲み始めると良いでしょう。しばらく保管しておきたい場合は、ここまでにご紹介した保存方法をお試しくださいね。

開封後(開栓後)の日本酒は早めに飲みきろう

味が変化してしまった日本酒は料理酒に
開栓後の日本酒はできるだけ早く飲みきるようにしましょう。開栓すると、味わいの変化が進んでしまいます。2~3日程度ではあまり変わりはありませんが、1週間ほど経つと徐々に違うお酒のように感じられることがあります。

特に火入れを行っていない生酒は、できるだけ新鮮なうちに飲みきってください。

 

一度に飲みきることが難しい場合は、キャップや瓶口を清潔に保って、冷暗所で保管するようにしましょう。生酒、生貯蔵酒の場合は冷蔵庫で保存します。
また、味わいが変化してしまった日本酒は、料理酒や日本酒風呂として使用するのもおすすめです。もちろんあまりにも味わいや風味が変化してしまった場合は、料理酒や日本酒風呂に適さないこともあるのでご注意ください。

 

▼古くなった日本酒の有効活用法を解説!

 

なお、3年、5年以上、中には10年以上熟成させた「古酒」は、味わい深さやまろやかさから人気のあるお酒ですが、劣化した日本酒とは別物です。蔵元や酒屋のプロがきちんと管理して貯蔵するからこそ、おいしい古酒ができます。自宅で楽しむ場合は、「古酒」として販売されているお酒を購入しましょう。

製造年月が古い日本酒・風味が落ちた日本酒の特徴は?

製造年月からだいぶ年月が経った日本酒や、風味が落ちてしまった日本酒はどのような特徴があるのでしょうか?色・香り・味わいの3つの観点から解説します。

日本酒の『色』の変化

時間が経過した日本酒は茶色に変化することがあります。これは日本酒に含まれる糖とアミノ酸によるものなので、身体的な影響はありませんが、透明な日本酒とはだいぶ様変わりしてしまいます。

日本酒の『香り』の変化

開栓前であれば基本的には大丈夫ですが、万が一、日本酒から異臭が発生している場合は、飲むのを控えるのが良いでしょう。

鼻にツンとくるような酸っぱい匂いがする場合は、酸化が進んでいる可能性があります。飲むこと自体に問題はありませんが、本来の味わいとは異なるので注意しましょう。

日本酒の見た目と一緒に、匂いに変化がないかをチェックしてみるのを忘れないでくださいね。

日本酒の『味わい』の変化

日本酒は時間や保存方法によって、徐々に味わいが変化します。特に開栓後であれば、その変化は顕著に表れます。もちろん熟成されることで、深いコクが生まれるという良い変化もあります。

しかし、舌にまとわりつくような苦みや酸味があれば、古くなってしまっている兆候です。主に酸化に伴う味わいの変化なので、飲めないこともありませんが、無理せずに判断すると良いでしょう。

おわりに

今回は、日本酒の賞味期限に焦点を当ててお伝えしました。日本酒には通常、賞味期限の表示はありませんが、おいしく飲むことができる期間はあります。通常の日本酒(火入れを2回したお酒)と生貯蔵酒、生酒で期間は違いますので、購入する際にラベルをチェックすることをおすすめします。ぜひ、おいしく飲める期間を逃さずに日本酒を堪能してみてください。

日本酒の賞味期限に関してよくある質問

未開封の日本酒の賞味期限はどのくらいが目安?

賞味期限表示がない日本酒を美味しく飲める期間の目安は、

  • 2回火入れを行っている通常の日本酒は、製造年月より約1年
  • 出荷する前に一度だけ火入れを行う生貯蔵酒は、製造年月より約9ヶ月
  • 一度も火入れを行わない生酒は、製造年月から約9ヶ月

あくまでも目安です。購入の際に酒造メーカーや銘柄の推奨期間を確認しましょう。

古くなった日本酒はどう見分ける?

賞味期限はないものの、製造から長期間経過した日本酒は状態が変化します。

  • 味わいが変わる
  • 香り(におい)が変わる
  • 色(見た目)が変わる

このように状態が変化し、美味しく飲めなくなってしまった場合は料理酒や日本酒風呂などの「飲む」以外でも活用できます。

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沢の鶴株式会社 酒みづき編集部
沢の鶴の日本酒がもっと好きになるWEBメディア『酒みづき』。

1717年(享保二年)、灘の西郷で米屋の副業としてスタートした沢の鶴の酒造り。「米を生かし、米を吟味し、米にこだわる」酒造りは創業から300年以上も続く伝統です。
これまでにモンドセレクション世界酒類コンクールにて数々の賞を受賞。2007年には10年間連続で最高品質の商品を生産してきた企業に授与される最高栄誉賞(THE CRYSTAL PRESTIGE AWARD)も受賞するなど、日本酒業界において数々の功績を残しています。

沢の鶴はこれからも日本酒文化を大切にしながら、みなさまの毎日の食事がもっと美味しくなるお酒造りを続けていくと共に、このWEBメディア『酒みづき』を通して、より多くの方々に日本酒の美味しさや楽しみ方に関する情報をお届けしてまいります。

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