灘酒の歴史
その3
“秋晴れ”の“男酒”が灘酒の特徴
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 灘の酒造りの特徴は、仕込みに硬水の宮水を使い、健全な酒母、若めの掛麹を用いることにあります。しかも旺盛な発酵をさせ、醪日数は比較的短期です。

 こうして造られる灘酒は、新酒の間は香味ともに荒削りで押し味があり、腰のしっかりした酒質です。ちょうど発育途上の青年のように若々しく感じられるため
「男酒*」とも呼ばれます。

昭和40年代の沢の鶴宮水井戸場

 しかしこのような新酒も夏期の貯蔵熟成を経て、荒々しさはすっかり姿を消し、馥郁とした香気が漂い、六味(旨み・甘味・酸味・辛味・苦味・渋味)の調和のとれた張りのあるすっきりした酒質になります。このように秋になって香味が整い、円熟味を増し、酒質が一段と向上することを「秋晴れ」「秋上がり」と呼び、他には見られない灘酒の特徴として高く評価されています。この「秋晴れ」の原因としては特に宮水に負うところが大きいと考えられています。

 成分面でも灘酒は、エキス分中に占める糖の比率が小さいこと、及びタンパク質がアミノ酸まで分解しないペプチドの形で存在することが特徴で、香味は単純ではなく、幅のある、深い味わいを感じさせます。これが熟成によって一層バランスが取れ、喉ごしのよい灘の酒質となるのです。

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男酒*
男酒とは通常仕込水に硬水を用い、発酵を強く進めた短期醪(もろみ)から醸されるやや酸の多い辛口酒のことです。新酒の間は舌触りがどことなく荒々しく男性的でおし味があり、しっかりしているところからこのような名で呼ばれています。しかし、このようなお酒は夏を越すと酒質に丸みがでて飲みやすくなり、いわゆる秋晴れ・秋上がりと称され酒質は向上する傾向があります。一方、男酒があるなら女酒もあり、軟水を用い、穏やかに発酵させた長期醪から醸される比較的酸の少ない甘口酒です。新酒の間は女性の肌のように滑らかで酒質もきれいで線が細く飲みやすいのでこのように呼ばれます。しかしこのようなタイプの酒は夏を越すと秋落ちといって酒質が低下する傾向があります。
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